おかんテストが有効かもしれない。

母が農園系のflashゲームをしていた。仲間内で流行ってもう1年ぐらいこのゲームをやっているらしい。
気になって何となく使い方を知っている「とあるゲーム」をテストプレイしてもらった。

前提

母:6x才
母は年齢にしてコンピューター習熟は平均付近(妄想)、ゲームユーザーとしては最底辺。
おそらくゲームをほとんどしない。たぶんゲーム嫌い。
種別としてはコミュニケーションツールとしてのゲームプレイヤーと考える。その意味で正統派ではないかと思っている。
ガキよりも可処分所得はあるのでこの層は荒れ野原ではないと考える。老人向けflashゲームとか素敵な可能性。
flashゲーム-ソーシャルゲームのレンジで老人の反応が見たかった。
「使いやすいUI」について考えてみたかった。
「とあるゲーム」はキャラが可愛く、ゲーム性が高い。よくできている。今回の懸念はゲーム性の高さ、つまり複雑であることだった。
「これは農業をするゲームです。作物やモンスターを作るゲームです」程度の抑制的な事前情報でプレイしてもらった。

縦方向に相当余裕が無いブラウザ環境

母のブラウザはyahooツールバーとgoogleツールバーとブックマークバーが表示されたie9だった。
意味不明のやり過ぎの部類だと思うが、母曰く「だいたいみんなこんな感じ」らしい。PCに詳しい人(元気な老人)に言われるまま入れ、外し方もわからない。
下手に触って「変なこと」になるのが怖い、とのこと*1
画面にflash入りきらなかった。悩ましい。

可愛いは正義

母「これ可愛いわ。これやるわ。これええねー。これ可愛いわー。コレタダなん?」
2回可愛いと発言。母大興奮である。「大事な事なので2回言いました」をナチュラルに発動させた。
私「基本プレイは無料です!」と颯爽回答。

flashとhtml要素の見分けがつかない

頻繁にhtml要素を押下して別ページに飛んでしまっていた。デザインのバランス感覚は悩ましい。どうにもならないこともあると思うし。

ゲーム内ポイントとリルマネーの区別がつかない。「購入」という文字列にセンシティブ

ショップにて
母「え?購入?やっぱりお金かかるの?」
チュートリアルでは補正不可だったの模様。この被験者は画面の文字をよく読む。理解しようとする努力はしてくれていた。
購入は「貨幣により買う」ことで貨幣とは円のことですもんねー、とおもう。いやはや。溝は狭いかもしれないが深いかもしれない。
ちなみにこのページには○○を購入というプラットフォーム側のリアルマネーに接続するリンクがあり、2つの異なる意味の「購入」文字列が
同じページに存在する、という状況が発生している。むむぅ。悩ましい。
ゲーム内マネー(ポイント)とマネーの区別をくどいぐらいしても良いのかも。
ポイントで購入(お金ではありません)/コインで購入(日本円にて購入ください)ぐらいかっこ悪く。
あまりにダサすぎますしデザインが許容しないかもしれませんがこの層に対してはそれくらい必要かも。
他は単純にポイント/ゴールドの区別なくすとか。
素直に文字の意味を考えてくれるので対応の方法はあるのかも。
愚直に詳しく、だけれどテンポよく。難題ですね。

「何々を押下=>何が起こったのか」を文字列で表示させればグッドかも

上とかぶるが画面反応について
母「ランダムおしたら変になった!」
ランダムボタン押下=>視線は色彩的に変更の大きい画面中央へ。そして困惑が発生。
画面中央に「○○さんの農場にきました」とかがアニメーションすればよかったのかも。
ダサくても。
モーダルダイアログぐらいまでくどくても良いレベルかも。この反応にはすこし衝撃を受けた。
そもそもアイコンによるガイダンスは文脈を共有してないんじゃないか?

「とりあえず全部のボタン押してみてプログラムの挙動をチェックする」とかありえない。

母「つぎ何したらええの?」
むむぅ。この層に対応するためには冴子先生方式が有効だろう。microsoftは10年以上前に気づいて対応していた。スゲー。

序盤で二桁分数は長すぎるっぽい。

チュートリアル後に最初の作付けをした後の反応。
母「え、15分かかるの?これ15分なんにもできないの?」母は画面上を視線移動して次のアクションを検索している、そしてわからない。
15分じっくり待つ、とかはしてくれなかった。急速に熱意を失い離脱しようとしていたので慌ててヘルプ介入した。
私「ランダムとかすればいいんじゃないかなー?」(ヘルプ。画面内のボタンアイコンを読んでみた。)
母「は?ランダム?何それ?この作物はどうなるの?」
直前に行った行為の結果がわからないうちに別の要素を取り込むのはユーザーに負荷がかかるということなのかしら?農園系としては高機能だしなー。ユーザーに「作物を作る=>収穫する」の基本ルーチンを徹底学習してもらった後で。。。という仕組みが有効なのかも。
ゲームからのpushで他要素を楽しませる、という方法もありそう。ユーザーの学習意欲に依存するなー。
10秒の作物を用意するというのが簡単で冴えた方法だろう。

ひと通り抑制情報で遊んでもらった後、かなり突っ込んだ手取り足取りのヘルプをした後の反応

母「これはええゲームやなー。でもちょっと難しいなー。難しいから怖いなー。でも可愛いからええなー」
難しいから怖い。なるほど。可愛いって何回言うねん。

思ったこと

うちのおかんはテスターとして最強かもしれん。ともかく素直だ。
1.この層に訴求する必要があるなら文字の状況適応ヘルプだ。文字なら読んでもらえる。pushヘルプなら反応してもらえる。アイコンは理解出来ない。
2.可愛いは正義。美的感覚は年代間でそれほど違わないのでは無いか?そういえば子供から大人までミッキーマウスに首ったけだ。
今回の「とあるゲーム」に関してはこの層にとってはかなり離脱点があったのでプレイされることはないかもなーという印象。
ただし
1.そもそもセックス目的レベルの出会いモチベーションを回避する種類のゲーム/文脈でこの層が優良顧客になってくれるのかはかなり疑問。
2.母はゲームにお金をつかう気は無いらしい*2


この層を取り込むのは作り込みがかなり必要そう。ペイするかはよく考えないとだめだ。ほっておいてもファミコン世代が老人に成るのはわりと直ぐ、という状況もある。シリーズものを立ち上げてブランド化するなどの状況があれば別段、いまのflashゲームの使い捨て感でこの層を開拓するのは。。。だけれど若年層は食い尽くしている気もするので続けるならこの層はあり得る標的ではあるな。。いろいろ考えさせられた。「おかんテスト最強説」。されども「おかんテスト」は使いすぎるとおかんがレベルアップしてしまうというジレンマ!

*1:jwordは入っていなかった。

*2:この手のゲームで1年やって進まないならたぶんお金使わないと100年たっても前に進まない様になってると思うよ、というと凹んでいた。母はお金の決済全般について方法をしらない。うちの母が決済方法を知らないことは良いことかもしれない、とも思う。家族としてこの母がネットショッピングをするとかは怖いと思ってしまった。